Amazonウィジェット

2015年6月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ

emca

2014年5月 3日 (土曜日)

フランシス&ヘスター本

1030 41yfiulpczl

 emcaについての重要な本が翻訳されて刊行。デイヴィッド・フランシス&スティーブン・ヘスター『エスノメソドロジーへの招待--言語・社会・相互行為』(ナカニシヤ出版)。原著は2004年の刊行、全訳です。訳者の方々にお送りいただきました。ありがとうございます。

 下はコンテンツ。英国で、学部学生向けに使われている教科書。ていねいです。

 私がエスノメソドロジーの勉強を始めたのは、1980年代の後半からになるんだけれど、その当時は、まだこのヘンな名前の社会学の全貌は明らかだったとはいえなくて、かつ、日本の社会学業界内での広がり方があるかたちのものだったため、いろいろと苦労がありました。その後、ガーフィンケル自身がいくつか論文を公刊して、「ひとつの研究プログラムとしてのエスノメソドロジー」という理解でいってよいことがわかってきたのだが(とはいえ、主流の社会学からみるならば、未だ理解は難しいものであるかもしれない)、いやまあ、たいへんでした(そうしたあたりに関心がある向きには、最終章をどうぞ)。

 そんな経験をもつものからすると、こんなふうに平易に書かれた本の登場は、「感動もの」かもしれないなあ。。。

1章 社会的相互行為、言語、社会
      社会的相互行為
      言語
      社会
      結語

2章 エスノメソドロジーをする
      エスノメソドロジーとエスノグラフィー
      エスノメソドロジーの実践
      エスノメソドロジーの分析の原則
      本書の内容
 

3章 エスノメソドロジーと自己省察
      新聞の見出しを分析する
      テレビニュースの意味を理解する
      結語     

4章 家族生活と日常会話
      朝食をとりながらの会話(1)
      朝食をとりながらの会話(2)
      帰宅する
      結語

5章 公共の場所に出かける
      スーパーへ歩いていく
      歩く
      カテゴリー化と共在
      知らない人と話す
      行列を作る
      結語

6章 助けてもらうためにトークを使う
      自殺――頼りにできる人がだれもいない
      警察に通報すること
      結語

7章 教育を観察する
      大学の講義の組織上の諸特徴
      新入生受け入れ学級でのアイデンティティと相互行為
      教室での権力と権威
      結語

8章 医者にかかる
      医者にかかるという決定
      診療室で
      検診のときに親密性を管理する
      専門家支配の理論
      結語

9章 組織のなかで働く
      組織のなかで働くこと――最初の例
      活動のなかの組織
      ルールを作動させること
      起業家の企業での意思決定
      テクノロジーを作動させる
      結語

10章 科学を観察する
      科学知識の社会学
      社会学と科学の「問題」
      合理主義に対抗する
      エスノグラフィーと実験室科学
      科学をエスノメソドロジーする
      結語

11章 エスノメソドロジーの原初的な性格
      エスノメソドロジーはわかりにくいか
      エスノメソドロジーは「不完全」か
      エスノメソドロジーの「経験主義」
      エピローグ

好評につき延長されていました(emcaフェア)

 紀伊国屋書店本店でのemcaフェア、びっくりしたことに好評だそうで、期間が延長されておりました。5/10までだそうです。せっかくの連休なので、行こうと計画しました。

 そして、今年度は武蔵大学で「エスノメソドロジー」が開講され、受け持っているので(しかも受講登録者が30人を超えているという! もちろんその後少し減りましたが)、これまでコメントペーパーの提出があった方々に、このフェアについてお知らせしたところ。

 小冊子も無料配布だというし、ゲットしよう。

 下記は酒井さんによる企画趣旨。

 そこで何が行われているのか/それは如何にして可能なのか[★]。 ──社会学の一流儀であるエスノメソドロジー(EM)は、このシンプルな問いを丁寧に跡づけていこうとするものです。

  一方でエスノメソドロジーは、研究者がその都度注目している場面において、そこに参加している人たちがどのように──他の局面でも使えるだろう一般的な仕掛けを/しかしその場特有の事情に合わせて用いながら──お互いの行為や活動を編みあげていくかを捉えよう[●]とします(これは、なるべく多数の現象・行為・活動に当てはまる──という意味で一般的な──知見の獲得を目指そうとする通常の社会科学の流儀とはずいぶんと違います)。

  他方でエスノメソドロジーは、取り組んでいる課題★と方針●のシンプルさゆえに、多様な現象に広くアクセスしていける普遍性と柔軟性を持っています(そのせいで書店ではいろんな棚に散らばって置かれてしまうことにもなるのですが。このリストでは狭い意味でEMに属すると判断した書籍には先頭に◎を付けました)。

  エスノメソドロジーのこの特徴は書籍遊猟者たちにも利用していただけるはずです。つまりエスノメソドロジーの様々な研究を手がかりにすることで それが属する本棚にある他の書籍と比較しつつ違いを読むとともに、方針●に乗っかりながら別の本棚にもアクセスしていける、という様に。

  このブックリストは、そうした書店フロア散策のやり方を提案するために作成したものです。(酒井)

2014年3月29日 (土曜日)

紀伊国屋書店本店にて

 新宿にある紀伊国屋書店の本店で、今月の17日から、ブックフェア「実践学探訪ー概念分析の社会学(エスノメソドロジー)からはじめる書棚散策」というのを開催中。期間中に一度くらいは見に行かねばと思っているのだが、1ヶ月やってるらしいから、だいじょうぶかな。

 選書は、酒井、前田、浦野、小宮、秋谷、中村、五十嵐、森の各氏と、そして中河伸俊さん。

2012年12月30日 (日曜日)

CAはどのように貢献できるか

 山形大学の学生さんが119番通報したが救急車の出動につながらず、亡くなった事件について、emcaの立場から、西阪チームが通話そのものを分析している。「オウム真理教の会話分析」に続いての仕事(下参照)。これを、朝日新聞が記事にしている。

 朝日の記事によると、問題になっているのは、例えば、下のようなやりとりであるようだ。

 

「歩けるの?」
「動けると思います」

「タクシーとかで行きますか?」
「番号がわかれば自分で行けると思います」

 これだけみると、「救急車の出動は不要」と言われているようであり、救急の判断は間違っていないように読めると思うが、西阪チームが着目しているのは、それぞれのシークエンスが、「この119番通話」のどういう部分に位置しているか、である。「歩けるの?」は、「熱はありますか?」のように、「症状の説明を促す質問」に聞こえたのではないかというのですね。

「タクシーで病院、同意せず 専門家が会話分析 山形」(2012年11月3日)

【神宮桃子】山形大生だった大久保祐映(ゆうは)さん(当時19)が119番通報後に遺体で見つかった問題で、会話分析が専門の西阪仰(あおぐ)・明治学院大教授の研究チームが通報内容を分析し、「大久保さんはタクシーで病院に行くことに同意したわけではなかった」と結論づけた。山形市消防本部は自力受診ができると判断して救急車を出さなかったが、西阪教授は「質問の仕方に構造的な問題が潜んでいる」と指摘している。
 分析したのは西阪教授と研究チームの小宮友根さん、早野薫さんの3人。
 西阪教授らがまず注目したのは、「歩けるの?」という通信員の質問に、大久保さんが「はい・いいえ」で答えず、「動けると思います」と言い換えて返答している点だ。「歩ける」より能力が低い「動ける」という表現を選び、「と思います」との推測的表現を付けて、「動ける」という主張も弱めている。
 「実際は歩けないのに同意に近い形で答えた可能性がある」と西阪教授。「いいえ」と答えなかったのは、「『非同意』は表明しづらく、日常会話でもしばしば遠回しの表現になるのと同じ」という。
 西阪教授らはタクシーを巡るやり取りも分析。「タクシーとかで行きますか?」との質問に、大久保さんは「番号がわかれば自分で行けると思います」と答えているが、「通信員の提案に同意しているわけではない」と結論づけた。
 「はい・いいえ」の回答を避け、質問にある「行きます」という表現を「行ける」に置き換えたうえ「と思います」と続け、「行ける」の主張も弱めているからだ。「番号がわかれば」と条件を付けたり、「あー、はぁ」と言いよどんだりしているのも「『非同意』に現れる特徴にほかならない」という。
 遺族が山形市を相手に損害賠償を求めている裁判で、市側は「大久保さんが『自分で動ける』『タクシーで行ける』と言った」ことなどから対応は適切だったとしている。西阪教授らの分析は、市側の主張の根拠に疑問を投げた形だ。
 その上で西阪教授は「通信員に悪意はなくても、会話の構造に問題がある。どんなタイミングでどう質問すべきか、消防は無頓着すぎる」と警鐘を鳴らす。
 通信員は「出動か不出動か」を判断するため、手順に従って「歩けるの?」と尋ねたとみられる。だが大久保さんにとっては、「どうされたんですか?」の問いに「ずっと体調悪くて」と答え、さらに具体的に説明しようとした時に投げかけられた質問だった。
 「『熱はありますか?』と同じように、症状の説明を促す質問に聞こえたはず。この質問が出動か不出動かの判断に使われているとは想像できなかっただろう」と西阪教授。通信員が大久保さんの返答にある「非同意」の特徴を受けとめられなかったのも、「質問の目的」の認識が双方で食い違っていることに起因すると考えられるという。
 「非同意」の意思が通じないまま不出動の決定が下される事態を避けるには、どうすればいいのか。
 「タクシーで行きますか?」のような、「はい」など同意の言葉が不出動につながる質問は避ける。「救急車を出したほうがいいですか?」「タクシーとかで行くのは難しいですか?」のように同意が出動につながる質問にする。西阪教授はそうした対応を提案している。

    ◇

■大久保さんと通信員のやりとりの一部

消防 大久保さんね、はい、わかりました。どうされたんですか?
大久保さん ずっと体調悪くて…えっとー、ふぅ…
消防 歩けるの?
大久保さん あ、動けると思います。
消防 自分で動けるの?
大久保さん はい…
消防 あのー、救急車じゃなくて、タクシーとかで行きますか?
大久保さん あー、はぁ…、えー、タクシーの番号がわかれば自分で行けると思います。
消防 104に聞いて…あの病院は、あのお教えするので

 日本のemca研究者は、これまで、日本の119番通報について学会発表を行い、論文を書いているけど、時間があったらみなおしてみようか。『会話分析への招待』(世界思想社)にも、岡田氏による119番通報の会話分析―「はい、119番消防です。火事ですか、救急ですか」が収められているんだが、版元品切れ(?)になっている模様。

 来年度は「エスノメソドロジー」の授業をやる年なので、覚え書き。

2010年9月 8日 (水曜日)

ほんとうの夏休みに入った…

Tokiwa40
 採点が残ってはいるけれども、昨日で集中講義(その2)を終了して、「夏休みの仕事」を終え、これから21日に後期(最近は、秋学期とか冬学期とか言う)の授業が始まるまでが、「ほんとうの夏休み」なのであった。やれやれであるが、去年もそうだったっけ。そういうことなら、はじめからそういうつもりでいるべきだなあ。「やれやれ終わった」と思って正門ほぼ正面にあるバス停から夕方の空を撮ってみた。「秋の空」の感じもありますが、気温は高いまま。今来ている台風が去ると、少しは涼しくなるらしいが。

 レポートにするか試験にするかで迷うが、去年から試験に決めている。この暑い中出てきてもらうんだから、いい成績を取ってもらおうと工夫してみたら、うまくいかなかった。今年は同じ轍を踏まないようにと思い、もちろん理解を確かめる意味もあって、このやりとりを使って、「練習」をしてみたのでした。「04は何か。どうしてそのように言えるのか、書いてみよ」。

「何時におやつなん?」(串田・好井編『エスノメソドロジーを学ぶ人のために』世界思想社、p.22)


((学童保育所にて))
01 カスミ;何時におやつな::ん?
02 指導員;いま何時::?
03 カスミ;ええ:3時:ごろ。
04     (1.8)
05 指導員;まだ。3時半ごろにするわ。

記号の説明
? 上昇音
: のばす音
。 下降音

 きちんと(こちらの期待通りに)書けた人はひとり。もちろん、とんちんかんなものはほぼなかったけれども、こういう勉強をしたんだから、少なくともこう書けないといけないよね、と思うのは、こちらの過剰な期待(というか、教育の失敗?)。こういうふうになるはずですよね。わかるでしょ、とみていって、これを「試験対策」にしたつもりでした。試験に出したのは「電話の終了」だけれども、これは、扱うテキストの一番最初に出てくる話題と言ってよいものなので、すぐに「ああこれね」と思ってもらえると思って。

Tokiwa_2_2
 結果は、まだみていません。これから採点するんです。うう。右の写真は、正門ほぼ正面のバス停から正門を写したもの。2月に「NHKクローズアップ現代」でも(水戸市が)取り上げられていたようだけれど、水戸のこの大学のあたりも本当に「フード・デザート」が実感できる場所で、コンビニもなく、昼ご飯に困るんですが(正門から徒歩5分以内にあるベーカリーは、ちょうどお休みだった。学食は休みで、部分営業している学内ファミリーマートには商品極薄)、幸い昨日は問題なかった。

 「フード・デザート」は、特に高齢者には問題である。これ↓を見てもらうと、水戸市の「フード・デザート」ぶりがよくわかる。

水戸市における高齢者に対する需要と供給のバランス

出典は、「日本におけるフードデザート問題の実証研究-茨城県水戸市の事例」という論文。フードデザート問題研究グループが、研究を進めている。東京都のマップもできている(この論文のp.48に登場)。

 ということで、こんなことを書いて、ほんとうの夏休みがきたことを実感してみた次第。

2010年1月23日 (土曜日)

めでたい!

Nakanisiya_concept

 編者の一人のブログによると(有名なブログです)、『概念分析の社会学—社会的経験と人間の科学』(ナカニシヤ出版、2009年)が増刷されるらしいのであった(期日不明)。なにしろめでたいことである。出版社さんには、本当によかったことなのである。emca本でも、売れるんですってよ! 他社の方々にも、いかがでしょうか? いえ、増刷ということで利潤があるのかどうかについてはよくわからないのではありますが。

 そういうことと関係があるのかどうかわからないのだが、関東社会学会の研究例会で、こんなのが開催予定である。来年度の年次大会(6/19.20@中央大学)の「テーマ部会」と連動させている。

2009年度 第2回 テーマ:『行為-秩序』関係の再検討


担当理事:宇都宮京子(東洋大学)、馬場靖雄(大東文化大学)
研究委員:木村正人(早稲田大学)、橋本摂子(東京工業大学)

日 程:2010年3月13日(土)14:00~18:00

場 所:東洋大学白山キャンパス6号館3階6308教室

報 告:
報告(1):小宮友根氏(明治学院大学ほか)「行為の記述と意味の秩序の構成(仮)」
報告(2):高橋章子氏(首都大学東京)「社会学的相互行為論と公共性(仮)」

司 会: 木村正人(早稲田大学)

 紹介文には、「テーマ部会「『行為-秩序』関係の再検討」は、(相互)行為論の視点から社会秩序を問うという社会学理論の伝統を、今あらためて問い直し、社会学理論の現在的位置を見定めようという趣旨のもと、今年度あらたに設けられた部会である」とか書いてあって、「(相互)行為論」として「相互」に括弧がついているのは何なのだと思うし、「行為」概念を所与にするのはいい加減にしたらどうかと思うわけなのでもあるけれども(いや、「所与にしない」っていう取り組みなのかも!?)、取り上げていただけるのはありがたい。

 と、気づいたのは、この企画と重なってるってこと!

日本学術会議公開シンポジウム「日本のジェンダー平等の達成と課題を総点検する—CEDAW(国連女性差別撤廃委員会)勧告2009を中心に—」


 「21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け」られた男女共同参画社会基本法が制定されてから10年。女性差別撤廃条約が採択されてから30年。日本のジェンダー平等はどこまで進んだのか。
 2009年7月、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)において、日本の女性差別撤廃条約実施状況の第6回報告が審議された。日本審査の総括所見では、「条約のすべての条項を系統だてて実行するという政府の義務を果たすよう、あらためて求める」19項目にわたる包括的な勧告が行われた。前回2003年の審査で勧告された事項が、十分に取り組まれていないことを遺憾として、前回の勧告の実行を求めるものである。
 その勧告にもとづいて、女性差別撤廃条約の採択から30年の間、日本でジェンダー平等がどこまで達成され何が課題なのか、をジェンダー研究の立場から理論的かつ経験的に総点検する。

◆ 日 時 2010年3月13日(土) 13:00〜17:00
◆ 場 所 日本学術会議講堂(東京都港区六本木7-22-34)

主催 日本学術会議・社会学委員会ジェンダー研究分科会/科学者委員会男女共同参画分科会

後援 京都大学グローバルCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」/東北大学グローバルCOEプログラム「グローバル時代の男女共同参画と多文化共生」&東京大学社会科学研究所連携拠点/広島大学男女共同参画室/神戸大学男女共同参画推進室/大阪大学多様な人材活用推進委員会/お茶の水女子大学ジェンダー研究センター/女性学研究会/ジェンダー法学会/日本スポーツとジェンダー学会/日本女性学会/大阪府立大学女性学研究センター/早稲田大学ジェンダー研究所/城西国際大学ジェンダー・女性学研究所/国際基督教大学ジェンダー研究センター/一橋大学ジェンダー社会科学研究センター/愛知淑徳大学ジェンダー・女性学研究所/奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター/和光大学ジェンダーフォーラム/昭和女子大学女性文化研究所

(1)コーディネーター
上野千鶴子(東京大学教授・日本学術会議会員)

開会:趣旨説明 天野正子(東京家政学院大学学長・ジェンダー研究分科会委員長)
メッセージ 福島瑞穂大臣(少子化、男女共同参画、食品安全、消費者行政担当)

(2)報告者
国際条約 伊藤和子(弁護士・国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長)
国内法 吉岡睦子(弁護士)
労働・雇用 竹信三恵子(朝日新聞)
性暴力 牟田和恵(大阪大学教授・日本学術会議連携会員)
人権 阿部浩己(神奈川大学教授)

(3)討論者
伊藤公雄(京都大学教授・日本学術会議連携会員)
大沢真理(東京大学教授・日本学術会議会員)
小宮山洋子(衆議院議員)

閉会挨拶:小舘香椎子(日本女子大学教授・男女共同参画分科会委員長)

 困ってしまう。。。

2009年10月17日 (土曜日)

何もない週末

 また土曜日が来た。今週は何もないのでうれしい。先週は3日とも外出だったんだからねえ。

 先週土曜日(10日)の午後は、ガーフィンケルの高弟のひとりで、オーストラリアの大学で教えている Prof. Eric Livingston によるレクチャーを聴きに行く。今回ガーフィンケル本人が来日するという話があり、それならというので日本社会学会大会で「テーマセッション」を組みましょう、ということに。本人も本気だったのだが(本当です)、結局高齢で×。しかし、高弟であるこの方が来日してくださり、ありがたいことであった。

講演 1 "Sociologies of the Witnessable Social Order"

 社会学研究を、「隠れた秩序」を見つけ出そうとするものと、「目撃可能な秩序」を研究するものとにわけて、お話。出てきたのは、例えば、「珍しいもの」を陳列する昔の博物館(の展示)、ジグソーパズルのやり方、(誰かの)家族の住まい(の中)など。これまでの社会学は前者ばっかりやっていて、それが「社会学」なんだと思ってるようだけどねえ、後者もやりませんかみなさん。去年刊行された著書は、以下。

Eric Livingston(2008) _Ethnographies of Reason._ Ashgate Pub Co

 終了後は別の集まりがあったので四谷へ。多少メールのやり取りをしたことはあったが、お会いしてお話しするのは初めての方がおられて、お話。シャカイガクシャとしてはおもしろくてしかたないものを日々目撃できるのだが、仕事柄そうは言っておられないわけであって、大変そうだった。

 日曜(11日)午後は、日本社会学会大会の自由報告部会(「性・ジェンダー(2)」)で司会。これがあったもんでねえ、数日前より少々緊張していたのである。報告は4つだったので、進行は楽だったはず。5つあると、質問時間が適切に配分できるかどうかとても気を揉むと思うので。

1.「自分史をやる」――性同一性障害のカウンセリング場面の録音/録画データの分析
 奈良女子大学 鶴田 幸恵
2. 脱埋め込み化された自己イメージ――性別に違和感を覚える人々の語りを事例として
 首都大学東京 石井 由香理
3. 学級におけるジェンダー・言語・身体をめぐる権力交渉の分析―― ド・セルトーの「戦略」と「戦術」の概念を用いて
 東京大学 宮崎 あゆみ
4. 内診台をめぐる一考察(2)――産婦人科診察室の内診台上のカーテンと相互行為の関わりを中心に  東洋大学 白井 千晶
 司会としては、「どうか質問が出るような報告であってほしい」と思うのだが(出ないと、自分でやらないといけないので)、研究キャリアの長い人と短い人がいて、報告内容も、その違いが出た部分があったかな、と(それだけではなかったと思うが)。教室は少し狭く、若干立ち見が出ていたが、時間帯、裏番組、流行などとの関連で、外れることも多い。研究活動委員会の方々にはご苦労様です。

 終了後はそのまま同じ部屋で「性・ジェンダー(3)」を拝聴。同じ時間に「会話分析」もあったが、こちらに。「トリ」の千田報告には、みんなで楽しませてもらったが、楽しませてもらっただけに終わっていた気配も(苦笑)。「少女マンガ」というジャンルはすでに崩壊している由だったが(報告タイトルでは、たぶんそこに配慮して「少女向けマンガ」とされていたわけなのだったが)、そうすると、「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」が変容しながらも未だ強固に生きているジャンルである「かの領域」は、いったいどんな領域なのであろうか、それを消費している人々とはいったい「誰」なんだろうか、と思うのであった。もちろんすでに「腐女子」というカテゴリが用意されている昨今なのであるが。

 月曜(12日)午前中は、「テーマセッション(1);ハロルド・ガーフィンケルの業績の再評価」。ほぼ開始と同時にすべりこんだが、会場はほぼ満席で驚いた。知っている顔ももちろんあったが、あんなに関心がある人がいるなんて! 本当ですか!? しかも報告はすべて英語です。

1.The curious case of Harold Garfinkel
 Meiji Gakuin University Aug Nishizaka
 明治学院大学 西阪 仰
2.Reappraising Garfinkel’ s notion of “self-organizing” settings
 Osaka-kyoiku University Shuya Kushida
 大阪教育大学 串田 秀也
3.Instructed and accomplished visibilities: The relevance of ethnomethodology for the study of educational practice
 ○University of Gothenburg  Gustav Lymer、University of Gothenburg Oskar Lindwall、University of Gothenburg Jonas Ivarsson
  4. エスノメソドロジーにおけるワークの研究とデザイン
 Palo Alto Research Center 池谷のぞみ
5.Law as Locally Produced Order
局地的に生成される秩序としての法
 Kobe University Shiro Kashimura
 神戸大学 樫村 志郎
(特別報告)
Ethnomethodology under erasure
The University of New England Eric Livingston

 報告数も多かったので、質疑応答はあまりなく、聴衆のみなさんにとってはどうだったのか、気になるところ。昼ご飯を食べ、書籍販売のあたりを少しうろつき、じゃあ帰ろう、と思ったら重要人物を見かけたのでつかまえて少しやりとり。よかったやりとりできて。Prof. Livingston のレクチャーは、翌火曜日にもあったのだが(講演 2 "Organizational Thematics: The This and How of the Missing Interactional What")、授業が入っており参加できず。

 ああ、こんな週末だった。いろいろ詰まっていたなあ。今週は、何もない。うれしい。ブログにこんな記事を入れられたりする。

2009年1月 5日 (月曜日)

ガーフィンケルの新著、ペーパー版刊行

Garfinkel2008
 ガーフィンケルの新著_Toward a Sociological Theory of Information._のペーパー版が出たと、アマゾンからお知らせが来たので注文した(現在、「一時的に在庫切れですが、商品が入荷次第配送します」になっている。お知らせをもらった人がそれなりに注文したせいだろう)。ガーフィンケルが一昨年出した本。「情報の社会学的理論へ」というタイトルなので、emca関係者は「情報?」と思ってしまうのだが、版元の Paradigm Publishers のページを見ると、こんなことが書いてある。

In 1952 at Princeton University, Harold Garfinkel developed a sociological theory of information. Other prominent theories then being worked out at Princeton, including game theory, neglected the social elements of “information,” modeling a rational individual whose success depends on completeness of both reason and information. In real life these conditions are not possible and these approaches therefore have always had limited and problematic practical application. Garfinkel's sociological theory treats information as a thoroughly organized social phenomenon in a way that addresses these shortcomings comprehensively.

(大意)1952年、ガーフィンケルは、プリンストン大学で社会学的情報理論を展開していた。当時プリンストンでこしらえられていたゲーム理論では、「情報」という社会的要素が無視されていたから、リアルライフにおいては、ゲーム理論のアプローチはつねに限界を持ち、実際の応用に際しては問題があった。ガーフィンケルの情報理論は、こうした欠陥に対処できるようなやり方で、情報を、組織化された社会現象として取り扱っている。

 最近出している本と同じように、アン・ロールズが編集している。1952年というのは、ガーフィンケルが博士論文である"Perception of the other"/「他者の知覚」を出した年ではなかっただろうか。さて、「情報を(十全に)組織化された社会現象として扱う」とはいかなることでしょう。リンチの分類するところの、「プロトエスノメソドロジー」に位置づけられるものになるのかな。

 おやおや、Studies in Ethnomethodology も、増補改訂版が刊行予定になっている。ハードカバーですが。10,967円、どうしよう…。

2008年12月15日 (月曜日)

新刊書『心の文法』

Maedaphd
 土曜日、外出先から戻ってきたら届いていた。アマゾンからかと思ったら出版社からだったので、最近研究できないせいもあって本をいただく機会も少なくなっているところ、どなたから何を?と思ったら前田氏の本だった。博士論文が本になる予定と聞いていたが、それ

 元になった論文のいくつかは、出たときに読んでいる。楽しみにしていました(大幅に加筆して原型を留めないそうですが、どのように変貌しているかも楽しみ)。おめでとうございます!

 昨年から今年、emca関係で良書が出続けており、めでたいことです。

前田泰樹(2009)『心の文法—医療実践の社会学』新曜社


◆目次

はじめに

第I部 心の理解可能性
 1章 行為記述の理解可能性
 2章 私的経験の理解可能性

第II部 感情と経験
 3章 共感の理念と感情の論理文法
 4章 感情を配慮する実践
 5章 傾聴活動の論理文法

第III部 記憶と想起
 6章 失語症研究と想起の論理文法
 7章 生活形式としての失語症
 8章 経験の記憶の語り

「序論」より

【1】
 本書の目的は、「心」にかかわる概念の用法に展望を与えることである。「心」にかかわる概念として、本書では、動機や感情や記憶を主題としてとりあげる。動機や感情や記憶は、ともすれば、個人の心理状態や個人の能力へと還元されて説明される傾向がある。それに対して、本書では、「心」にかかわる概念の用法を、私たちが参加し荷担する実践の側に位置づけることを試みる。
   〜
 たとえば、私たちは、「コップを落として割ってしまった」ことと「コップを投げつけて壊した」ことを区別して理解するだろう。そして、「うっかりコップを落とした」Aさんと、「コップを投げつけた」Bさんとが、そろって「わざとじゃなかったんです」と言うとき、私たちは異なった態度で応じることになるだろう。だとすれば、私たちは、AさんやBさんが何をしたのか理解するさいに、「意図」や「動機」といった概念を用いていることになる。こうした概念を実際に用いているといういみでは、私たちは、こうした概念の使い方をよく知っていて、こうした概念を用いてなされる実践に参加しているのである。

 p.170(文献リスト)に間違いをひとつ発見。高山さんの論文のタイトルに「?」が入ってしまってる。文字コードの問題で、ハイフンか何かがこれに代わってしまったのではないだろうか。

 動機といえば、最近「殺人」(しかもシリアルキラー)の動機としては認められがたいものがあることが明らかになっていますね。

2008年8月28日 (木曜日)

ひっくり返ってる!

Bnewsgnews
 来週からまた旅回りなのでその準備中。イントロダクションでちょっと使うので、確認のために(PDSの words を知りたかったので。perspective delivery sequence でいいんでしょうか。2章に出てきそうなんだが、2章はものすごい抄訳なのだ)開いてみたの中に、問題を多々発見。翻訳が、ひっくり返ってるじゃないですか!

 たとえばこんなふうだ。本文ではHIVの検査結果が「陽性」になってるのに、トランスクリプトでは「陰性」に(pp.151-152)、本文では「検査は反応なしと返ってきた」と書いてあるのにトランスクリプトでは「検査に反応ありと 帰ってきたということ」(pp.157-158)になってたり!

 読者が混乱しますよ。他にも気づいたら書いておかなくちゃ。

 追記;PDSは、perspective display series でした。原著の在処がわかったもんで、確かめられました。